二次関数の次に大切なのが三角比です。数IIの三角関数や数IIIの微積分につながっていくのはもちろん、ベクトルや座標の問題でも使うのでここは確実にマスターしてほしいです。
- 1. 三角比で躓くポイント
- 2. 三角比の教え方 - 三角比の定義
- 3. 三角比の教え方 - 単位円
- 4. 三角比の教え方 - 90°±θ、180°±θなどの公式
- 5. 三角比の教え方 - 対称式
- 6. 三角比の教え方 - 三角形の成立条件
- 7. 三角比の教え方 - 面積
- 8. 三角比の教え方 - 体積
1. 三角比で躓くポイント
三角比で躓くのは単位円です。いや、単位円で躓くというか、学校で単位円を教わっているかどうかがポイントです。学校の先生によっては、単位円を使わずに三角比を教える無謀な挑戦をする方もいらっしゃいます。正直、生徒にとっては運が悪かったとしかいいようがありません。
三角比を理解しているかどうかは、青チャート数I 例題144の不等式の問題と、例題161, 162の面積の問題を見ます。
例題144で不等式の処理を見れば、単位円を使えているかどうかはすぐに分かります。ただしタンジェントについては単位円が使えても意外と解けない場合があるので注意です。
161, 162の面積の問題は処理の流れが決まり切った問題なので、その生徒がどれだけ三角比を勉強していたかを判別してくれす。
2. 三角比の教え方 - 三角比の定義
まずは直角三角形での定義を教えます。ここは定義で覚えるだけです。
3. 三角比の教え方 - 単位円
直角三角形の定義で考えることができるのは90°までです。180°や360°に拡張することを考えると「さっき直角三角形からsin, cos, tanを定義したばっかりだけど、実は別の定義のやりかたがあって、そっちのほうが便利なんです><」といって、さっさと単位円を導入していくに限ります。
単位円を教えるときにはちょっとしたコツがあります。
sin,cosの導入については、
扱う値が1/2, √2/2, √3/2の3種類しかない
ということを押さえてもらって、その上で実際の1/2とは少し違う単位円を覚えてもらいます。
(軸書き忘れてます汗)
1/2を実際より小さめに書く(=30°を20°くらいに、60°を80°くらいにデフォルメして描く)ということは伝えるべきだと思っています。
1/2を本当に正確に座標に描くと、本来はcos60°=1/2なのに、cos45°と見間違えてしまう可能性があるからです。
タンジェントはあまり単位円に固執しないほうがいいと思います。
この(3)を教えるときには、
タンジェントは3兄弟で小さい方から1/√3, 1, √3
と覚えてもらって、あとは感覚的に結びつけてもらいます。
4. 三角比の教え方 - 90°±θ、180°±θなどの公式
単位円さえ導入してしまえば 90°±θ、180°±θなどの公式も理解がスムーズです。
この公式の導出はすぐに忘れてしまうので、何度も根気強く教えていく必要があります。稀にこの種の公式を暗記しようとする猛者がいるので本当に驚きます。
5. 三角比の教え方 - 対称式
例題141のような対称式の問題は、三角比のみならず色々な場面で出てきます。
私は対称式で大切なのは、三乗の公式の覚え方だと思っています。
三乗の公式を
この形か、(a+b)^3= a^3+b^3+3ab(a+b)の形で暗記してもらいます。
この形を覚えておけば、対称式の問題での処理スピードが速まるし正確になります。
対称式の問題は、あとは「タンジェントは常に脇役、sin/cos」とぶつぶつつぶやいておけばOKだと思います。タンジェントが脇役なのは対称式に限らず、多くの場面で言えることですが。
6. 三角比の教え方 - 三角形の成立条件
三角形の成立条件は教科書や問題集で色々な形で登場するのでなかなか覚えづらいです。思い切って、
一辺の長さ<他の二辺の和
だけ覚えてもらうのが良いと思います。すなわち、三辺をa,b,cとすると、
a<b+c
b<c+a
c<a+b
の条件です。これで必要十分条件なので、これがベストだと思います。
青チャートでは例題155が成立条件の問題なのですが、これは設問がイマイチです。私は↓のように改題してしまうのがいいと思います(東京出版の一対一対応のパクりです)
こうすると、(1)で成立条件の説明がやりやすいです。
7. 三角比の教え方 - 面積
例題161と162がとにかく大事です。余弦定理でcos→三平方でsin→三角形の面積、の流れをたたき込むことに加えて、
例題161では、内接円の図を覚えてもらうこと、
162では、円に内接する四角形の対角の和が180°であること、
これらは呼吸をするくらい自然に手になじませたいです。
8. 三角比の教え方 - 体積
体積で重要なのは166、169です。チャート的にも重要例題です。
これらの問題では、とにかく図を沢山描くことを強調します。斜めから見た立体的な図のほか、どんどん平面の図を描くことが大事です。
「立体の問題っていうのはなあ〜、平面でしか計算できねえんだよぉ!」
などと言います。
これらの図を「大きく」描かせます。小さい図だと情報を記入したときに視認性がとても悪いです。
B4サイズの計算用紙を与えて、ためらいなく大きく描けるよう準備してあげます。